審美歯科

~審美歯科最前線~ 変色歯の治療

歯の変色(変色歯;へんしょくし)には、歯の表面的な汚れが原因の変色と、神経(歯髄;しずい)を取ってしまった歯が暗紫色に変色したり、薬物や生体の代謝異常が原因となる歯そのものの変色、また、エナメル質のでき方が不十分なことによる変色、そして加齢(かれい)に伴う黄ばみが強くなる変色などがありま す。

歯の変色を主訴に来院する患者さんの多くは、汚れの付着が原因で、変色歯の治療に際してはまず前述したような歯面清掃を行うことが必要です。特に、歯間部の汚れを除去することでかなりの改善が見られます。

しかし、汚れの付着以外の原因による場合は治療法の選択がむずかしくなります。テトラサイクリンという抗生剤を服用したことで子どもに発症するテトラサイクリン変色歯や、加齢に伴う黄変などが軽度のものには、強い酸化剤(高濃度過酸化水素水など)の活性酸素を応用する歯牙漂白法(しがひょうはくほう: ティースブリーチング法)があります。

また失活(しっかつ:神経を取ってしまった歯)による経年的な変化で変色した歯に対しても、神経の入っていた穴の中に漂白剤(30%過酸化水素水を過ホウ酸ナトリウムと混和し、ペースト状にしたもの)を貼薬する方法(ウォーキングブリーチ法)などがあります。

しかし、これらの漂白法は数年という単位であともどり現象が起こることが知られており、治療を何回か繰り返す必要があります。これら歯牙漂白法は、アマル ガムなどの金属塩の沈着に伴う変色や歯内の部分的な崩壊が大きく形態異常を伴う変色、重度の変色歯に対しては効果がなく、別の方法を選択する必要があります。   



生活歯(せいかつし:神経の生きている歯)の重度の変色に対しては、歯を削る範囲を歯の表側のエナメル質の範囲にとどめ、ポーセレン(セラミックでできた もの)の薄い(0,3~0,7ミリ程度)シェルを接着剤ではりつけるポーセレン・ラミネートベニア法(写真は修復前、修復後)といわれる方法が、また失活歯の変色歯に対しては、歯の表面を薄く削り、天然の歯の色に近い修復材(しゅうふくざい)でつくったキャップのようなものでかぶせるジャケット冠などが選 択されます。  


治療前

 治療前 

幼少時に服用した薬の影響で歯に高度の色素沈着が認められます。

治療後

 治療後 

ポーセレン・ラミネートベニアにより審美障害は改善されました。